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執筆:ベトナム不動産ナビ編集部

ベトナム不動産の外国人購入枠30%|確認方法・枠切れ対策を解説

ベトナムのコンドミニアム群の空撮

ベトナム不動産の外国人購入枠は、コンドミニアムが1棟あたり総戸数の30%、一戸建て・ヴィラが1地区(坊)あたり250戸までと定められており、人気プロジェクトほど早く枠が埋まります。本記事では、購入前の枠確認方法、枠が埋まっていた場合の対策、売却時の枠への影響、実際のトラブル事例と契約時の防衛策まで、外国人がベトナムで「買えない」を防ぐための実務を解説します。

この記事を読んで分かること
  • Qベトナムのコンドミニアムの外国人購入枠は何%ですか?
    A1棟あたり総戸数の30%が外国人の所有上限です。複数棟のプロジェクトでは棟ごとに30%が適用されます。一戸建て・タウンハウスは1地区(坊)あたり250戸が上限です。
  • Q購入枠の残りはどこで確認できますか?
    A公的なオンラインデータベースは存在しません。デベロッパーまたは信頼できる不動産会社に直接確認する必要があります。書面での枠確認書の発行を依頼することをおすすめします。
  • Q外国人購入枠がいっぱいの場合、購入方法はありますか?
    A同エリアの別プロジェクトへの切り替え、外国人所有の中古物件の購入(残存所有期間の引き継ぎ)、新規フェーズの販売開始待ちなどの方法があります。
  • Q外国人が購入した物件を売却すると枠はどうなりますか?
    A外国人に売却する場合は枠内の引き継ぎとなり、枠に変動はありません。ベトナム人に売却する場合は枠が1つ空きます。
  • Q2025年の法改正で外国人購入枠は変わりましたか?
    A2024年8月1日施行の改正住宅法(No. 27/2023/QH15)でも30%の枠は維持されています。手付金の5%上限や書面契約の義務化など手続き面は改善されましたが、枠自体の変更はありません。

「気に入った物件があったのに、外国人はもう買えないと言われた」——ベトナム不動産では、こうした「枠切れ」が実際に起きています。外国人がベトナムで購入できる戸数には、コンドミニアムなら1棟あたり総戸数の30%という明確な上限があり、人気プロジェクトほど早く枠が埋まるためです。

本記事では、ベトナム不動産の外国人購入枠(30%ルール)の仕組み、購入前に枠の残りを確認する具体的な方法、枠が埋まっていた場合の対策、そして売却時の枠への影響まで、投資家が「買えない」「売れない」で困らないための実務を解説します。

ベトナム不動産の外国人購入枠「30%ルール」とは

ベトナム不動産の外国人購入枠は、コンドミニアムが1棟あたり総戸数の30%、一戸建て・ヴィラ・タウンハウスが1地区(坊/phường)あたり250戸までと定められており、人気プロジェクトほど早く枠が埋まります。 外国人がベトナムで取得できるのは土地そのものの所有権ではなく、建物の所有権と土地使用権であり、所有期間や購入できる物件の種類にも制限があります。まずは制限の全体像を押さえましょう。

ベトナムではすべての土地が「全人民の所有」とされ、国家が統一的に管理しています。外国人だけでなくベトナム人も土地そのものを私有することはできず、取得できるのは「土地使用権(Land Use Rights)」のみです。外国人は2015年7月1日施行の改正住宅法によって、非居住者であっても新築コンドミニアムなどを購入できるようになりました。ただし、誰でも自由に何戸でも所有できるわけではなく、戸数の上限が設けられている点が大きな特徴です。

コンドミニアム:1棟の総戸数の30%まで

コンドミニアムでは、1棟の総戸数のうち外国人が所有できるのは30%までと定められています(住宅法 No. 27/2023/QH15 第19条)。 複数棟が共通の基壇(共有部)を持つ大規模な複合開発の場合は、プロジェクト全体ではなく各棟ごとに30%の上限が適用されます。

たとえば総戸数200戸のコンドミニアム1棟であれば、外国人が購入できる戸数は次のように計算できます。

200×30%=60200\text{戸} \times 30\% = 60\text{戸}

総戸数が200戸あれば外国人枠は60戸ありますが、総戸数50戸の小規模プロジェクトでは外国人枠は15戸しかありません。

50×30%=1550\text{戸} \times 30\% = 15\text{戸}

外国人枠の絶対数はプロジェクトの規模によって大きく変わります。総戸数が多い大規模プロジェクトほど外国人枠の戸数も多く、小規模プロジェクトほど枠が少なく埋まりやすいという関係を、物件選びの前提として理解しておくことが重要です。

一戸建て・ヴィラ・タウンハウス:1地区(坊)あたり250戸まで

一戸建て・ヴィラ・タウンハウスについては、人口1万人相当の1地区(坊/phường)あたり外国人の所有上限が250戸までと定められています(住宅法 No. 27/2023/QH15 第19条、施行令 No. 95/2024/ND-CP)。 坊(phường)とはベトナムの行政区画の単位で、250戸という上限は人口1万人を基準に算定されます。

さらに、同じ地区に複数のプロジェクトがある場合は、1プロジェクトあたり総戸数の10%という制限と、地区全体で250戸という上限の両方が適用され、いずれか少ない方が外国人の購入可能戸数となります。一戸建て・ヴィラはコンドミニアムよりも外国人枠が厳しく、人気エリアでは早期に上限へ達する可能性がある点に注意が必要です。

所有期間は最大50年(延長申請で最長100年)

外国人個人がベトナム不動産を所有できる期間は、ピンクブック(所有権証明書)の発行日から最大50年で、満了前に延長申請を行えばさらに最大50年、合計で最長100年まで所有できます(住宅法 No. 27/2023/QH15 第20条)。 ベトナムの不動産所有は土地を完全所有するフリーホールドではなく、一定期間の土地使用権を持つリースホールドである点が、日本やタイ・マレーシアなどとの大きな違いです。

延長申請は所有期間の満了の少なくとも3か月前までに、省・市の人民委員会へ提出し、30日以内に審査結果が通知されます。なお、外国人がベトナム人または越僑(海外在住ベトナム人)と結婚している場合は、配偶者と同等の権利が認められ、50年という期間制限は適用されません。また、外国人から外国人へ中古物件を売却する場合、買主は新たに50年を取得するのではなく、前所有者の残存期間を引き継ぎます。

ピンクブック(Sổ hồng)は、土地使用権と建物所有権を1枚に記載した所有権証明書で、売却・贈与・抵当設定・相続などに必要不可欠な書類です。外国人向けのピンクブックは発行までに1〜2年以上かかるケースが頻発しており、引き渡しを受けてもしばらく権利証が手元に届かないことがある点を、購入計画に織り込んでおく必要があります。ピンクブックの仕組みや発行遅延への対処法はベトナム不動産のピンクブック(権利証)で詳しく解説しています。

改正住宅法(2024年8月施行)での変更点

2024年8月1日に施行された改正住宅法(No. 27/2023/QH15)でも、外国人購入枠30%は維持されています。 30%という上限自体は変わっていませんが、手付金の上限設定や書面契約の義務化など、外国人投資家を保護する手続き面の改善が行われました。主な改正法令を整理すると次の通りです。

法令法令番号施行日
改正住宅法No. 27/2023/QH152024年8月1日
改正土地法No. 31/2024/QH152024年8月1日
改正不動産事業法No. 29/2023/QH152024年8月1日
一括改正法(4法同時改正)No. 43/2024/QH152024年8月1日
住宅法施行令No. 95/2024/ND-CP2024年8月1日

外国人投資家に関係する主な変更点は、次の3つです。

  • 手付金は販売価格の5%が上限と明文化された(旧法では明確な規定がなかった)
  • 書面による売買契約が義務化された
  • 越僑(Việt Kiều)の土地使用権が大幅に拡大され、国内在住者と同等の権利を持つようになった

手付金の上限設定と書面契約の義務化は、工期遅延やデベロッパーの資金繰り悪化によるトラブルから購入者を守るための改正です。当初は2025年1月施行の予定でしたが、市場の混乱を受けて一括改正法(No. 43/2024/QH15)により2024年8月1日へ前倒しされました。越僑の権利拡大は外国人個人の30%枠とは別の話ですが、ベトナム系の親族を持つ投資家にとっては選択肢が広がる改正といえます。法改正の全体像は外国人がベトナム不動産を購入できる条件、所有期間の詳細はベトナム不動産の所有期間もあわせてご覧ください。

枠が埋まりやすい物件の特徴3つ

外国人購入枠が早く埋まりやすいのは、総戸数の少ない小規模プロジェクト、外国人需要の高い人気エリア、ブランドデベロッパーの好立地新築物件の3つです。 人気が高い物件ほど外国人の購入が集中し、30%という上限に短期間で達するため、検討中に「枠切れ」となるリスクが高まります。どのような物件で枠が埋まりやすいのかを、購入計画の前に把握しておきましょう。

小規模プロジェクト(外国人枠の絶対数が少ない)

総戸数が少ない小規模プロジェクトは、30%という割合は同じでも外国人が買える絶対数が少ないため、枠が埋まりやすい傾向があります。 前述の通り、総戸数200戸なら外国人枠は60戸ですが、総戸数50戸なら15戸しかありません。

希少性の高いブティック型の小規模コンドミニアムは魅力的に見えますが、外国人枠の戸数が限られるぶん、販売開始直後に枠が埋まることがあります。物件を比較する際は、総戸数と外国人枠の残数をセットで確認することが大切です。

外国人需要の高いエリア・物件タイプ

ホーチミン市の中心部(1区)や2区(トゥーティエム)・7区など、外国人コミュニティが集まる人気エリアの物件は、外国人需要が集中して枠が早く埋まります。 ホーチミン市は価格上昇の期待が高く外国人投資家に人気が集中しやすいエリアで、ダナンは海辺のリゾート型物件に需要が集まる一方で流動性は相対的に低い傾向があります。

外国人に人気のエリアやタイプは、それだけ枠の競争が激しくなります。エリアごとの特徴はホーチミン不動産投資の対象エリア、物件タイプごとの違いはベトナムのコンドミニアムとヴィラの違いで詳しく解説しています。

ブランドデベロッパー × 好立地の新築物件

実績のあるブランドデベロッパーが手がける好立地の新築物件は、信頼性の高さから外国人の購入が集中し、外国人枠が早期に埋まる傾向があります。 ベトナムでは工期遅延や未完成のまま放置されるプロジェクトのリスクがあるため、完工実績の豊富なデベロッパーの物件に人気が集まりやすいという事情があります。

ブランド力と立地の良さを兼ね備えた物件は資産性の観点で魅力的ですが、そのぶん外国人枠の競争率も高くなります。気になる物件があれば、販売開始のタイミングを逃さず、早めに枠の状況を確認しておくことが重要です。

購入前の枠確認方法|聞くべき5つの質問

外国人購入枠の残りを確認する公的なオンラインデータベースは存在せず、デベロッパーまたは信頼できる不動産会社に直接確認するのが唯一の方法です。 不動産登記データベースは土地管理機関のみがアクセスでき、一般の投資家が登記データを直接確認することはできません。だからこそ、購入前に「何を・どう確認するか」を知っておくことが、枠切れトラブルを防ぐ最大のポイントになります。

デベロッパーへの直接確認|聞くべき5つの質問

外国人枠の状況は、デベロッパーに対して具体的な質問をぶつけて確認するのが基本です。 あいまいに「枠は空いていますか」と聞くだけでは、実態と異なる回答を受け取るおそれがあります。最低限、次の5つの質問を確認しましょう。

  1. 現在の外国人購入率は何%か(30%の上限に対してどれくらい埋まっているか)
  2. 予約済み・契約済みで未引き渡しの件数は何件か
  3. 枠の仮押さえ(確保)ができる場合、その期限はいつまでか
  4. 複数棟のプロジェクトの場合、棟ごとの枠状況はどうなっているか
  5. 書面での枠確認書を発行してもらえるか

これらの質問は、外国人枠が「いま空いているか」だけでなく、「契約から引き渡しまでの間に枠が埋まらないか」までを見極めるためのものです。とくに予約済みの件数と仮押さえの期限を確認しておくと、口頭では「空きあり」と言われても実際には埋まりかけている、という状況を早期に察知できます。複数棟プロジェクトでは棟ごとに30%が適用されるため、希望する棟の枠を個別に確認することが欠かせません。

不動産会社経由の確認と注意点

デベロッパーと直接やり取りするのが難しい場合は、ベトナム不動産に詳しい不動産会社を通じて枠状況を確認する方法もあります。 現地の事情や言語の壁があるなかで、信頼できる窓口を持っておくことは、枠の確認だけでなくその後の手続き全体をスムーズに進める助けになります。

ただし、販売を急ぐあまり枠状況を実態より楽観的に伝えるケースがないとは言い切れません。第三者から得た情報であっても、最終的にはデベロッパー発行の書面で裏付けを取ることが重要です。なお、運営元である株式会社DeLTは宅地建物取引業の免許を持たず、物件の仲介・媒介は行わない情報提供のメディアです。本記事は購入判断の参考情報の提供を目的としています。

契約前に必ず書面で枠確認を取る

口頭の「枠あり」は証拠にならないため、契約前に必ずデベロッパー発行の書面で外国人枠の状況を確認することが、最も重要な防衛策です。 後述するトラブル事例の多くは、口頭の説明だけを信じて契約し、引き渡し時に枠切れが判明したというものです。

書面での枠確認書があれば、万が一トラブルになった際の交渉材料になります。次の章で解説する契約書への枠保証条項の明記とあわせて、書面で証拠を残すことを徹底しましょう。

枠が埋まっていた場合の4つの対策

外国人購入枠が埋まっていても「購入不可」で終わりではなく、別プロジェクトへの切り替え、外国人所有の中古物件の購入、新規フェーズの販売待ち、配偶者名義の検討という4つの選択肢があります。 枠切れは「選択肢の変更」と捉え、自分の投資方針に合った代替手段を冷静に検討することが大切です。

同エリアの別プロジェクトに切り替える

希望していたプロジェクトの外国人枠が埋まっていても、同じエリアの別プロジェクトであれば枠が空いている可能性があります。 人気エリアでは複数の新築プロジェクトが並行して販売されていることが多く、立地や価格帯の近い代替物件を見つけられる場合があります。

エリアへのこだわりが強い場合は、第一候補が枠切れであっても、近隣の同等プロジェクトに視野を広げることで投資機会を確保できます。複数の候補を並行して検討しておくと、枠切れによる機会損失を抑えられます。

外国人所有の中古物件を購入する(残存所有期間の引き継ぎ)

ベトナム人が所有する中古物件は外国人が直接購入できませんが、外国人が所有していた物件であれば外国人どうしの売買が認められています(前所有者の残存所有期間を引き継ぐ形)。 新築の外国人枠が埋まっていても、すでに外国人が保有する物件を引き継ぐ形であれば取得できる場合があります。

ただし中古物件の場合、所有期間は新たに50年が付与されるのではなく、前所有者の残りの期間を引き継ぐ点に注意が必要です。残存期間が短い物件は、出口戦略(売却・運用)の自由度が下がる可能性があるため、残り何年の権利かを必ず確認しましょう。

新規フェーズ・新規プロジェクトの販売開始を待つ

大規模開発では複数のフェーズ(期)に分けて販売されることが多く、次のフェーズや新規プロジェクトの販売開始を待つことで、新たな外国人枠が解放される場合があります。 急いで条件の悪い物件を選ぶよりも、タイミングを待つほうが結果的に良い投資につながることもあります。

新規フェーズの情報をいち早く得るには、デベロッパーや信頼できる情報源とつながっておくことが有効です。販売開始直後に動けるよう、事前に資金計画と必要書類を整えておくと、枠の競争で出遅れずに済みます。

ベトナム人配偶者名義(リスクと注意点)

ベトナム人配偶者の名義で購入すれば外国人枠の対象外となり所有期間の制限も受けませんが、財産分与や相続をめぐるリスクがあるため慎重な判断が必要です。 ベトナム人名義であればベトナム人と同じ条件で不動産を保有できますが、名義人がベトナム人配偶者となるため、外国人本人の権利は法的に弱くなります。

離婚時の財産分与や名義人の相続が発生した場合、外国人本人が不動産を確保できないリスクがあります。配偶者名義の活用を検討する場合は、必ずベトナムの弁護士など専門家に相談し、夫婦間の取り決めや法的な手当てを十分に行うことが不可欠です。安易に名義だけを借りるような方法は、トラブルの原因になりかねません。

売却時に枠はどうなる?出口戦略への影響

外国人から外国人への売却は外国人枠に影響しませんが、外国人からベトナム人への売却では枠が1つ空きます。枠が満杯のプロジェクトでは買い手が外国人に限られ、売却が難しくなる可能性があります。 購入時だけでなく売却時の枠の動きを理解しておくことは、出口戦略(イグジット)を考えるうえで欠かせません。

外国人→外国人:枠内の引き継ぎ

外国人が別の外国人に物件を売却する場合、外国人枠の中で所有権が引き継がれるため、プロジェクトの外国人枠に変動はありません。 買主は前所有者の残存所有期間を引き継ぐ形で、外国人枠の1戸を引き継ぎます。

2023年の住宅法改正で外国人どうしの売買が正式に認められたことにより、外国人投資家にとっての出口の選択肢は広がりました。外国人の買い手が見つかれば、枠の問題を気にせず売却を進められます。

外国人→ベトナム人:枠が1つ空く

外国人が物件をベトナム人に売却すると、その物件は外国人枠から外れ、プロジェクトの外国人枠が1つ空きます。 売却後はベトナム人所有となり、ベトナム人と同等の長期安定使用の権利に切り替わります。

ベトナム人の買い手は外国人よりも母数が大きいため、売却先の選択肢は広がります。一方で、ベトナム人に売却すると外国人枠が1つ空くため、同じプロジェクトの別の外国人にとっては購入チャンスが生まれることになります。

枠満杯時の売却困難リスクと回避策

外国人枠が満杯のプロジェクトでは、外国人の新規購入ができないため買い手がベトナム人に限られ、希望価格で売却しにくくなるリスクがあります。 とくに外国人需要を見込んで割高に購入していた場合、ベトナム人の相場感とのギャップから売却に時間がかかることがあります。

回避策としては、購入時点で出口を意識し、ベトナム人にも売りやすい立地・価格帯・物件タイプを選んでおくことが有効です。また、ベトナムドン(VND)建てで得た売却代金を海外へ送金する手続きは実務上ハードルがあるため、送金の要件や売却時にかかるベトナム不動産投資の税金をあらかじめ確認しておくことも重要です。

実際のトラブル事例と契約時の防衛策

「枠がある」と言われて購入したのに引き渡し時に枠切れが判明する、外国人向けの価格がベトナム人向けより高い、といったトラブルが実際に起きており、契約書への枠保証条項の明記と専門家による事前確認が最も有効な防衛策です。 制度を理解するだけでなく、実際にどのようなトラブルが起こりうるかを知り、契約段階で備えておくことが重要です。

事例:「枠あり」と聞いて契約→引き渡し時に枠切れ判明

口頭で「外国人枠はまだ空いている」と説明されて契約・支払いを進めたものの、引き渡し段階で枠が埋まっていてピンクブックが発行できない、というトラブルが報告されています。 外国人枠を超過した場合、所有権は取得できず、支払った金額の返還にとどまるおそれがあります。

このようなトラブルを防ぐには、前述の通り契約前にデベロッパー発行の書面で枠を確認し、契約書にも枠に関する条項を盛り込むことが欠かせません。口頭のやり取りだけで多額の手付金や代金を支払うことは避けるべきです。

事例:二重価格問題(外国人価格がベトナム人より高い)

同じ物件でも、外国人向けの提示価格がベトナム人向けより高く設定される「二重価格」が存在する場合があり、相場を知らずに割高で購入してしまうリスクがあります。 外国人は現地の相場感をつかみにくいため、提示価格をそのまま受け入れてしまいがちです。

対策としては、同等物件の取引事例や賃料相場を複数の情報源で確認し、提示価格が妥当かを検証することが大切です。相場からかけ離れた価格で購入すると、売却時に二重価格のギャップが響き、想定した利益を確保できない可能性があります。投資の採算は、固定費控除後の実質的な収支で慎重に見積もりましょう。

契約書に入れるべき防衛条項

外国人枠が確保されていることの保証、ピンクブック発行の責任と期限、未達成時の返金条件を契約書に明記することが、トラブルを防ぐ最も有効な防衛策です。 ベトナムでは新築物件の販売で、完成前に代金の70%超を受け取ってはならない、ピンクブック未発行の段階で95%超を受け取ってはならない、といった購入者保護のルールがあります。

契約書に盛り込みたい防衛条項の例は次の通りです。

  • 外国人購入枠が確保されており、引き渡し時に外国人名義での登記が可能であることの保証
  • 枠が確保できなかった場合の全額返金条項
  • ピンクブック発行の責任の所在と発行予定時期
  • 手付金(販売価格の5%上限)と支払いスケジュールの明記

これらの条項を盛り込むには、契約前にベトナムの弁護士など法務の専門家に契約書を確認してもらうことが重要です。条文の解釈や登記実務には専門的な判断が必要となるため、自己判断で契約を進めず、必ず専門家のチェックを受けましょう。ベトナム不動産で実際に起きた失敗のパターンはベトナム不動産投資の失敗事例でも詳しく解説しています。


免責事項

本記事は2026年6月時点の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資の勧誘や、法務・税務上の助言を行うものではありません。ベトナムの法令・制度・税制は改正される場合があり、実際の適用は個別の状況によって異なります。外国人購入枠の状況や契約条件は必ずデベロッパー発行の書面で確認し、購入の最終的な判断にあたっては、ベトナムの弁護士・税理士など専門家にご相談ください。なお、運営元の株式会社DeLTは宅地建物取引業の免許を有しておらず、物件の仲介・媒介は行わず、情報提供を目的としています。

参考文献

本記事の執筆にあたり、以下の情報源を参照しました。

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