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執筆:ベトナム不動産ナビ編集部

ベトナム不動産の売却代金を日本へ送金|規制・必要書類・手順を解説

ベトナムから日本への海外送金のイメージ

ベトナム不動産は「売却できても送金できない」と言われることがあります。ベトナムは外貨管理が厳しく、正当な資金の出所を書類で証明できなければ、売却代金や賃貸収入を日本へ海外送金できないためです。本記事では、ベトナムの海外送金規制の仕組み、必要書類のチェックリスト、送金手続きの6ステップ、銀行選び、手数料の目安、2025年に強まった生体認証義務化の影響、そして送金拒否を防ぐための実務までを解説します。

この記事を読んで分かること
  • Qベトナムの不動産を売却した代金は日本に送金できますか?
    A法律上は可能です。公証済みの売買契約書、譲渡所得税の納付証明、購入時の送金記録(資金の出所証明)などを揃えて税金を納めれば送金できます。ただし購入時の送金エビデンスは後から取得できないため、購入段階から記録を保管しておくことが重要です。
  • Qベトナムからの送金にはどのくらい時間がかかりますか?
    A書類が揃っている場合、書類準備に2〜4週間、銀行の審査に1〜2週間、送金実行から日本への着金まで3〜7営業日が目安です。書類不備があるとさらに数週間かかる場合があり、全体で1〜2ヶ月を見込むのが現実的です。
  • Q送金手数料はいくらかかりますか?
    Aベトナム側の送金手数料は送金額の0.15〜0.2%程度(最低5USD)に電信費10〜40USDが加わり、中間銀行手数料(コルレスチャージ)が10〜20USD程度です。日本側でも被仕向手数料や円為替手数料がかかります。為替レートによるコストも考慮が必要です。
  • Q2025年の新規制は不動産投資家に影響がありますか?
    A影響があります。2025年7月から高額の電子送金に生体認証が義務化され、国際送金(SWIFT経由)は金額にかかわらず生体認証が必要になりました。未登録だとオンライン送金ができず窓口対応のみとなるため、送金のために渡航が必要になる可能性があります。
  • Q賃貸収入も日本に送金できますか?
    A可能ですが、毎月の送金は手数料負担が大きいため、年1〜2回まとめて送金するのが一般的です。税務登録(税コード取得)と賃貸所得の納税証明が必要で、賃貸収入専用の口座を開設して資金を混在させないことが推奨されます。

ベトナム不動産は「売却できても送金できない」と言われることがあります。ベトナムは社会主義国として外貨管理が厳しく、正当な資金の出所を書類で証明できなければ、売却代金や賃貸収入を日本へ海外送金できないためです。とりわけ購入時の送金記録は後から取得できないため、購入段階での準備が送金成功の分かれ目になります。

本記事では、ベトナムの海外送金規制の仕組み、不動産売却代金を送金するための必要書類チェックリスト、送金手続きの6ステップ、銀行選びのポイント、送金手数料と為替コスト、賃貸収入の送金、そしてよくあるトラブルと対処法までを解説します。

ベトナムの海外送金規制|なぜ「送金できない」と言われるのか

ベトナムは外貨管理が厳しく、ベトナム国家銀行(SBV)がすべての外貨取引を管理しているため送金のハードルが高いものの、「送金できない」のではなく「正当な資金の出所を証明できれば送金は可能」というのが正確な理解です。 海外送金が複雑なのは、資金の出所と納税を証明する書類が求められるためです。

外貨管理の仕組み|ベトナム国家銀行(SBV)と管理フロート制

ベトナムは管理フロート制を採用しており、ベトナム国家銀行(SBV)が毎日公表する中心レートに対して上下5%の変動幅を許容する形で、為替と外貨取引を管理しています。 管理フロート制とは、為替レートを完全に市場に委ねず、中央銀行が一定の範囲で管理する制度です。

外国為替管理の根拠となるのは外国為替管理令(第28/2005/PL-UBTVQH11号、2013年改正)とその施行細則です。外貨の海外送金は認可された商業銀行を通じて行うことが義務づけられており、誰でも自由に外貨を持ち出せるわけではありません。外国人の非居住者が海外送金できるのは、合法的な外貨収入源があることを示せる場合に限られます。

不動産売却代金の送金が複雑な理由

不動産売却代金の送金が複雑なのは、売却の事実・納税の完了・資金の出所という3点を書類で証明する必要があるためです。 ベトナム政府は資金洗浄を警戒しており、出所が不明な資金の海外送金を厳しく制限しています。

個人居住者の年間海外送金には上限(USD 50,000)の規定がありますが、不動産売却代金については、売却目的を証明する書類を提出することで上限を超えた送金が認められる実務慣行があります。ただし銀行ごとに対応が一律ではないため、送金前に取引銀行へ事前相談することが欠かせません。売却そのものの流れはベトナム不動産の出口戦略で解説しています。

2025年の新規制|生体認証義務化とマネロン防止強化

2025年7月1日から、一定額以上の電子送金には生体認証(顔・指紋)が義務化され、国際送金(SWIFT経由)は金額にかかわらず全件で生体認証が必要になりました。 生体認証が未登録の場合、オンラインでの送金・引き出し・入金ができず、銀行窓口での対応のみとなります。

日本に居住したまま投資する場合、生体認証の登録のために渡航が必要になる可能性があります。あわせて、2022年のマネーロンダリング防止法に基づき、国際送金1,000USD以上は銀行が当局へ報告する義務を負うなど、資金の流れの監視が強化されています。2025年に強まった規制は、購入の早い段階から銀行口座と本人確認情報を整えておくことの重要性を高めています。

不動産売却代金を送金するための必要書類チェックリスト

送金には、売却関連・税務関連・本人確認の3カテゴリで合計10点前後の書類が必要で、なかでも「購入時の送金エビデンス(資金の出所証明)」は後から取得できないため最重要です。 必要書類を購入時から準備しておくことが、送金トラブルを防ぐ最大の対策になります。

売却関連の書類

売却関連では、公証済みの売買契約書、ピンクブック(所有権証明書)、名義変更完了の証明、売却代金の受取を示す銀行入金記録が必要です。 これらは売却手続きの過程で順に取得していきます。

名義変更は自然資源・環境局(DONRE)で手続きします。ピンクブックは送金の裏付け書類としても使われるため、発行状況を事前に確認しておく必要があります。ピンクブックの仕組みと発行遅延についてはベトナム不動産のピンクブック(権利証)で解説しています。

税務関連の書類

税務関連では、譲渡所得税(売却価格の2%)の納付証明が必須で、賃貸所得がある場合はその納税証明、登録料の支払い証明も必要です。 納税証明書がなければ、海外送金は認められません。

譲渡所得税は非居住者の場合、源泉分離課税の対象となり2%が源泉徴収されます。税額や課税方法は個別事情で異なるため、最終的な取り扱いは税理士に確認してください。譲渡税や賃貸所得課税の詳細はベトナム不動産投資の税金で解説しています。

本人確認書類

本人確認では、有効期限内のパスポート、送金目的に適合したビザまたは一時居住証、送金先の銀行口座情報(口座番号・名義・SWIFTコード・支店名)が必要です。 SWIFTコードは国際銀行送金で受取銀行を識別するためのコードです。

ビザの種別と送金目的が一致していることも重要です。送金目的とビザの整合が取れていないと、銀行が送金を断ることがあります。海外で作成した書類は、アポスティーユまたはベトナム領事認証とベトナム語の公認翻訳が必要で、準備に2〜4週間かかるのが一般的です。

最重要:購入時の送金エビデンス(資金の出所証明)

最も重要なのは、物件購入時にベトナムへ外貨を送金した際の送金記録・銀行明細で、現金を持ち込んで購入した場合は資金の出所を証明できず、売却後の送金が拒否される可能性が高くなります。 「お金の出所がはっきり証明されている」ことが、送金が認められる最重要条件です。

購入時の送金エビデンスは、売却の段階になってから取得することはできません。購入時に外貨を正規の銀行送金でベトナムへ送り、その記録を保管しておくことが、将来の出口で資金を回収するための前提になります。外国人がベトナム不動産を購入する流れは外国人がベトナム不動産を購入できる条件で確認できます。

送金手続きの流れ6ステップ

送金は、売却完了・代金受取、税金の支払いと納税証明の取得、必要書類の準備、銀行への送金申請、銀行審査、送金実行・日本での着金という流れで進み、全体で通常1〜2ヶ月かかります。 書類審査に1〜2週間かかることが多く、事前準備が期間短縮のカギになります。

Step 1〜2:売却完了・代金受取と納税証明の取得

まず買主との売買契約を公証し、名義変更を経て売却代金をベトナム国内の銀行口座で受け取り、譲渡所得税を納付して納税証明書を取得します。 すべての資金の動きはベトナムの銀行口座を通じて行うのが原則です。

ここで重要なのが口座の選び方です。現金入金など出所が不明な資金が混在した口座は、銀行が資金全体の送金を拒否する可能性があります。資産売却の資金専用の口座を別に用意しておくことが、送金をスムーズに進めるベストプラクティスです。

Step 3〜4:必要書類の準備と送金申請・審査

必要書類を揃えて銀行の窓口で海外送金を申請すると、銀行はマネーロンダリング防止の観点から書類審査(コンプライアンスチェック)を行い、通常1〜2週間かかります。 送金フォームには、受取銀行の英語名・SWIFTコード、支店名・住所、受取人の口座名義・口座番号、金額を数字と文字の両方で記入します。

送金目的の記載が曖昧だと、受取銀行が着金を拒否したり遅延させたりすることがあります。日系銀行も「具体的な送金目的を受取銀行へ通知するよう求められる」と案内しており、送金目的を明確に記載することが重要です。

Step 5〜6:送金実行と日本での着金

書類審査を通過すると、銀行はSBVへの報告を経て送金を実行し、日本の銀行口座への着金は通常3〜7営業日で完了します。 着金までの期間は、土日を挟んでも1週間以内が目安です。

送金実行後は、為替レートの確定と着金額を確認します。書類がすべて揃っていれば、Step 1からの全体は1〜2ヶ月程度で完了するのが一般的です。

銀行選びのポイント|外貨業務に慣れた認定銀行を選ぶ

すべての銀行が外国人の不動産売却代金の送金に対応しているわけではないため、外貨業務の許可を持ち、外国人対応に慣れた認定銀行を選ぶことが重要です。 銀行によって対応にばらつきがあるため、送金前の事前相談で対応可否を確認しておくと安心です。

ベトナム系・外資系の主要銀行

外国人の送金に対応する主な銀行には、国有のVietcombankやBIDV、外資系のHSBC Vietnam・Standard Chartered Vietnamなどがあります。 いずれもSBVから外貨業務の許可を得ている認定銀行です。

ただし、銀行ごとに条件が異なります。考慮しておきたい主な点は次の通りです。

  • 一定期間以上の滞在者にのみ送金を認める銀行がある(例:12か月以上の滞在を条件とする情報あり)
  • インターネットバンキング経由の送金手数料を窓口より割り引く銀行がある
  • 半年〜1年間口座を使わないと凍結されることがあり、凍結解除は手間がかかる

上記のように、滞在期間の条件や口座の維持要件は銀行によって異なります。特定の銀行を一律に「安全」「おすすめ」と断定できるものではないため、自分の滞在状況やビザ種別に合った銀行を、複数比較して選ぶことが現実的です。

送金目的とビザの整合を確認する

送金を断られないためには、ビザの種別・職業と送金目的が一致していることを確認しておく必要があります。 たとえば観光ビザで給与送金を申請すると、目的とビザが整合せず断られる可能性があります。

不動産売却代金の送金では、売却・納税を裏付ける書類が送金目的を証明します。送金目的と提出書類に食い違いがないかを、申請前に銀行へ確認しておくことが大切です。

送金手数料と為替コスト

送金には、ベトナム側の送金手数料(送金額の0.15〜0.2%程度)と電信費、中間銀行のコルレスチャージ、日本側の被仕向手数料・円為替手数料がかかり、加えて為替レートの差が手取り額に影響します。 なお、2004年以降は利益送金そのものに課される税(利益送金税)は廃止されており、現在は送金自体への課税はありません。

手数料の内訳(電信費・コルレスチャージ・被仕向手数料)

手数料は、ベトナム側の送金手数料・電信費、中間銀行のコルレスチャージ、日本側の被仕向手数料という複数の項目で構成されます。 それぞれの目安を整理すると次の通りです。

手数料項目目安発生する場所
送金手数料送金額の0.15〜0.2%(最低5USD)ベトナム側
電信費(SWIFT)USD送金10USD・JPY送金40USD等ベトナム側
コルレスチャージ10〜20USD(約1,500〜3,000円)中間銀行
被仕向送金手数料1,500円程度日本側
円為替取扱手数料0.05%(最低2,500円程度)日本側

上記の手数料は銀行によって異なるため、実際の金額は送金前に取引銀行へ確認する必要があります。たとえば10万USDをVietcombankから日本の銀行へ送る場合、ベトナム側の送金手数料は次のように計算できます。

100,000USD×0.15%=150USD100{,}000\text{USD} \times 0.15\% = 150\text{USD}

送金手数料150USDに電信費10USDとコルレスチャージを加え、日本側でも被仕向手数料と円為替手数料がかかります。手数料の合計は、ベトナム側で約180USD、日本側で約9,000円が一つの目安です。

為替レートと円転のタイミング

為替レートは銀行ごとに異なり、円に転換するタイミングによって手取り額に数十万円規模の差が出ることがあります。 銀行の為替レートには、仲値(TTM)に上乗せされるスプレッド(手数料相当)が含まれます。

ベトナムドン(VND)から日本円へ直接転換するより、米ドル(USD)を経由する方が手数料面で有利になる場合があります。為替は変動するため、円換算後の金額をあらかじめ確定できない点を踏まえ、複数の銀行のレートを比較して判断することが大切です。

賃貸収入の送金|毎月 vs 年1回まとめて

賃貸収入も日本へ送金できますが、毎月の送金は手数料負担が大きいため、年1〜2回まとめて送金するのが現実的です。 送金のたびに賃貸契約書や納税証明などの裏付け書類が必要になるため、まとめて送金する方が手続きの負担も軽くなります。

毎月送金は手数料負担大、年1〜2回まとめが現実的

送金1回ごとに固定の手数料(電信費・被仕向手数料など)がかかるため、少額を毎月送ると手数料の割合が高くなり、年1〜2回にまとめる方が効率的です。 賃貸収入の送金には、税務登録(税コードの取得)、賃貸契約書、税務コンプライアンス証明書の提出が求められます。

賃貸収入の課税は、個人の外国人オーナーの場合、付加価値税(VAT)5%に加えて個人所得税(PIT)が課されます。非居住者には20%の定率課税が適用される取り扱いがあり、税率や免税ラインは個別の状況で異なります。賃貸収入専用の口座を開設し、他の資金と混在させないことが、後の送金手続きを簡略化するうえで有効です。

日本での確定申告との連携

ベトナムで得た賃貸収入は、日本居住者であれば日本でも確定申告が必要で、ベトナムで納めた税は外国税額控除によって調整できます。 ベトナムは日本を含む多くの国と租税条約を結んでおり、賃貸収入は不動産所在国であるベトナムで課税されるのが原則です。

二重課税の調整は所得税部分に適用されます。ベトナムと日本のどちらでいくら納めるかは個別事情によって変わるため、賃貸収入の申告については税理士に相談することをおすすめします。

よくあるトラブルと対処法

送金で最も多いトラブルは書類不備による送金拒否で、初回申請の拒否率は約15%とされますが、購入時からのエビデンス保管と送金前の銀行への事前相談で大部分は予防できます。 トラブルの多くは、準備不足と確認不足が原因です。

トラブル1:書類不備・送金目的の不備で送金拒否

送金拒否の主な原因は、送金目的の記載が曖昧なこと、書類の内容と送金額が一致しないこと、納税証明書が未取得であることです。 送金目的が不明確だと、受取銀行が着金を拒否したり遅延させたりするリスクがあります。

対策としては、送金目的を具体的に記載し、提出書類と送金額を一致させ、納税証明書を事前に取得しておくことが基本です。申請前に銀行へ書類一式を確認してもらうことで、不備による差し戻しを減らせます。

トラブル2:購入時のエビデンス紛失で資金の出所を証明できない

購入時に正規の銀行送金を使わなかったり、送金記録を紛失したりすると、資金の出所を証明できず、売却後の送金が認められない深刻なトラブルになります。 現金で物件を購入したケースでは、出所証明ができずに送金が止まる例が報告されています。

資金の出所を証明できない問題を避けるには、購入時に外貨を認可銀行経由でベトナムへ送り、送金記録を長期保管しておくことが不可欠です。購入時の判断が、数年後の出口での資金回収を左右します。

対処法:事前の書類準備と銀行への事前相談

最も効果的な対処法は、購入時から送金エビデンスを保管し、売却・送金の前に取引銀行へ事前相談して必要書類と手続きを確認しておくことです。 銀行によって対応が一律でないため、事前相談で自分のケースの可否と必要書類を把握しておくことが重要です。

生体認証が未登録の場合は、窓口対応のみとなり送金に渡航が必要になる可能性があるため、口座の生体認証登録も早めに済ませておきましょう。なお、運営元の株式会社DeLTは宅地建物取引業の免許を持たず、物件の仲介・媒介や送金代行は行わない情報提供のメディアです。本記事は送金手続きの流れを知るための一般情報の提供を目的としています。


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本記事は2026年6月時点の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資の勧誘や、法務・税務上の助言を行うものではありません。記載した手数料・税率・期間・上限額は前提を簡略化した目安であり、実際の金額や手続きは銀行・個別の状況・為替によって異なります。ベトナムおよび日本の法令・制度・税制や銀行の運用は改正・変更される場合があり、送金・納税の手続きや税額については、必ずベトナムの弁護士・税理士など専門家にご相談のうえ、最終的な判断を行ってください。なお、運営元の株式会社DeLTは宅地建物取引業の免許を有しておらず、物件の仲介・媒介や送金の代行は行わず、情報提供を目的としています。

参考文献

本記事の執筆にあたり、以下の情報源を参照しました。

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