ベトナム不動産ローンの現実|海外不動産投資で銀行融資は組める?

- Q外国人はベトナムの銀行で住宅ローンを組める?A原則として認められていません。ベトナム人配偶者がいる場合は例外的に可能です。
- Q日本の銀行で海外不動産ローンは使える?A東京スター銀行やオリックス銀行など、国内不動産を担保にした融資商品が利用可能です。
- Qローンなしでベトナム不動産は買える?Aプレビルド物件の分割払い(約2年で分割)を活用すれば、銀行融資なしでも購入可能です。
ベトナム不動産購入で現地銀行の融資は組めるのか?
海外不動産投資を検討する日本人投資家にとって、銀行からローンを組めるかどうかは重要な関心事です。ベトナム不動産を購入する場合、現地の金融機関から融資を受けることは可能なのでしょうか。結論から言うと、外国人がベトナムの銀行で住宅ローンを組むことは原則として認められていません。ベトナム不動産への投資を検討している方は、資金計画の段階で現地ローンに頼らない購入方法を前提に考える必要があります。
外国人への住宅ローンは原則不可
ベトナム国内の銀行は、外国人に対する住宅ローンの提供に消極的です。ベトナムの四大国営銀行であるVietcomBank、BIDV、Agribank、VietinBankはいずれも外国人向けの住宅融資商品を積極的に展開していません。外資系銀行についても状況は同様で、HSBCベトナムやCitibankベトナムでも外国人向けの住宅ローンは一般的に取り扱われていません。
ベトナムの銀行が外国人への融資に消極的な理由として、以下の点が挙げられます。
- 外国人の不動産所有権が50年の定期借地権に限られている: 長期融資の担保として不十分と判断されるため、銀行にとってリスクが高くなります。
- 債務不履行時の担保回収が困難である: 外国人所有の不動産を差し押さえる手続きが複雑で、回収コストが高くなります。
- 外国人の信用情報を確認する手段が限られている: ベトナム国内でのクレジットヒストリーがないため、返済能力の審査が難しくなります。
- 為替リスクや海外送金規制が複雑である: 外貨建ての返済や海外への資金移動に関する規制が融資判断を複雑にします。
ただし、ベトナム人配偶者がいる場合は例外的に融資を受けられる可能性があります。ベトナム人配偶者の名義でローンを申請すれば、ベトナム国内の銀行から住宅融資を受けることは可能です。しかしベトナム人配偶者名義でローンを組む場合、不動産の所有権も配偶者名義となるケースが多く、離婚時の財産分与リスクや相続問題が生じる可能性があります。ベトナム人配偶者名義での購入を検討する場合は、事前に弁護士へ相談し、所有権や権利関係を明確にしておくことが重要です。
現地の金利水準は年6〜9%と高い
仮にベトナム現地の銀行で融資を受けられたとしても、ベトナムの住宅ローン金利は日本と比較して非常に高水準です。2025年時点でのベトナム住宅ローン金利は、銀行の種類によって以下のような水準となっています。
| 銀行の種類 | 金利水準(年率) | 特徴 |
|---|---|---|
| 国営銀行(Agribank、BIDV、Vietcombank、VietinBank) | 6.4〜7% | 審査が厳格、安定した金利 |
| 民間商業銀行 | 9〜12% | 優遇期間終了後は変動金利に移行 |
| 外資系銀行(HSBC、Citibankなど) | 5.5〜9% | 優遇条件あり、手続きが複雑 |
国営銀行グループの金利は年6.4〜7%程度と比較的低めですが、審査基準が厳しく外国人が利用することは現実的ではありません。民間商業銀行の金利は年9〜12%と高く、優遇期間(通常1〜2年)が終了すると市場金利に連動した変動金利に移行します。外資系銀行の金利は年5.5〜9%程度ですが、給与振込口座の指定やプレミア会員などの条件を満たす必要があります。
日本の住宅ローン金利が変動型で年0.3〜0.5%程度であることを考えると、ベトナムの金利水準は10倍以上も高いことになります。たとえベトナムで融資を受けられたとしても、高金利による利息負担が投資収益を圧迫し、レバレッジ効果による投資効率の向上が期待できません。ベトナム不動産投資においては、現地ローンを前提とした資金計画は現実的ではなく、自己資金または日本国内での融資調達を検討する必要があります。
日本の銀行で海外不動産ローンは利用できる?
ベトナム現地の銀行で融資を受けることが難しい場合、日本国内の金融機関から資金を調達する方法があります。日本の一部の銀行では、国内不動産を担保にして海外不動産の購入資金を借り入れできる商品を提供しています。ベトナム不動産への投資でローンを活用したい方は、日本の銀行が提供する不動産担保ローンの活用を検討してみましょう。
東京スター銀行:ベトナム不動産も対象の全世界型ローン
東京スター銀行の「スター不動産担保ローン」は、ベトナムを含む世界各国の不動産購入資金に利用できる数少ない金融商品です。東京スター銀行のスター不動産担保ローンは「全世界型海外不動産ローン」として、日本国内に所有する不動産を担保にして、海外不動産の購入資金を調達できる仕組みになっています。
東京スター銀行のスター不動産担保ローンの主な融資条件は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金利(変動金利型) | 年1.0%〜7.25% |
| 金利(固定金利型) | 年2.3%〜9.2%(3年・5年・10年から選択) |
| 融資額 | 100万円〜1億円(審査により決定) |
| 融資期間 | 1年〜30年 |
| 事務手数料 | 融資金額の2.2%〜3.3%(税込) |
| 団体信用生命保険 | 加入可能(金利上乗せあり) |
東京スター銀行のスター不動産担保ローンの大きな特徴は、購入する海外不動産の所在国を問わない「全世界型」である点です。アメリカやイギリスなどの先進国だけでなく、ベトナムのような新興国の不動産購入資金にも利用できます。日本国内に自宅や投資用不動産を所有している方であれば、国内不動産の担保余力の範囲内で融資を受けられる可能性があります。
東京スター銀行の公式サイトによると、既に住宅ローンが残っている物件でも担保余力があれば融資申込が可能で、複数の投資物件を担保にして5億円近い海外不動産を購入した事例も紹介されています。また団体信用生命保険を付帯できるため、万が一の際にも安心してローンを組むことができます。
オリックス銀行など国内不動産担保型の選択肢
東京スター銀行以外にも、オリックス銀行の「不動産担保ローン」が海外不動産購入資金に利用可能な選択肢として挙げられます。オリックス銀行の不動産担保ローンは、首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産を担保にして、様々な資金使途に利用できる商品です。
オリックス銀行の不動産担保ローンの融資条件は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金利(変動金利型) | 年2.175%〜4.175% |
| 融資額 | 2,000万円〜2億円 |
| 融資期間 | 1年〜35年 |
| 担保対象地域 | 首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産 |
オリックス銀行の不動産担保ローンは、資金使途の対象となる不動産の所在地を問わない点が特徴です。つまりベトナム不動産の購入資金として利用することも可能です。オリックス銀行の公式サイトでは、海外の投資用不動産購入資金や国内外の別荘購入資金など、様々な資金使途に対応していることが明記されています。
オリックス銀行の不動産担保ローンは最低融資額が2,000万円からとなっており、東京スター銀行の100万円からと比較すると高めの設定です。しかし融資期間は最長35年と長く設定できるため、月々の返済負担を抑えた資金計画を立てることができます。
その他の選択肢として、SMBC信託銀行の「プレスティア不動産アドバンテージローン」や、SBIエステートファイナンスの不動産担保ローンなども海外不動産購入資金に利用できる可能性があります。各金融機関によって審査基準や融資条件が異なるため、複数の銀行に相談して比較検討することをお勧めします。
銀行融資を受ける際の条件と注意点
日本の銀行で海外不動産ローンを利用する場合、いくつかの重要な条件と注意点があります。ベトナム不動産投資でローンを活用したい方は、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
まず、日本の銀行で海外不動産ローンを利用するための主な条件は以下の通りです。
- 日本国内に担保として提供できる不動産を所有していること: 自宅や投資用物件など、担保に設定できる不動産が必要です。
- 担保不動産に十分な資産余力(担保余力)があること: 既存の住宅ローン残高を差し引いた余力の範囲内で融資額が決まります。
- 安定した収入があり、返済能力が認められること: 給与所得者の場合は勤続年数や年収、自営業者の場合は事業年数や所得が審査されます。
- 日本国内に居住していること: 海外居住者は利用不可の場合が多いため、日本在住であることが条件となります。
日本国内に担保として提供できる不動産を所有していることが融資の大前提となります。東京スター銀行の場合、本人名義の不動産だけでなく、配偶者・実父母・実兄弟姉妹が所有する不動産も担保として認められる場合があります。既に住宅ローンを返済中の物件でも、担保余力の範囲内であれば融資を受けられる可能性があります。
海外不動産ローンを利用する際の重要な注意点として、為替リスクがあります。日本の銀行から円建てで借り入れを行い、ベトナムドン(VND)建ての賃料収入で返済する場合、為替変動によって返済負担が大きく変わる可能性があります。ベトナムドンは対米ドルで年間3〜4%程度の下落傾向にあり、長期的には円高・ベトナムドン安が進行するリスクを考慮する必要があります。
また金利上昇リスクにも注意が必要です。変動金利型のローンを選択した場合、日本国内の金利上昇に伴って返済額が増加する可能性があります。2024年以降、日本銀行は金融緩和政策の修正を進めており、今後の金利動向によっては返済負担が増加することも想定しておく必要があります。
ローン不要?プレビルドの分割払いで資金計画を立てる
ベトナム不動産投資では、銀行融資を利用せずにプレビルド物件の分割払いを活用する方法が一般的です。ベトナムの不動産事業法では、投資家保護の観点から支払いスケジュールに上限規制が設けられており、購入代金を2〜3年かけて分割で支払うことができます。銀行ローンが利用しにくいベトナム不動産市場において、プレビルドの分割払いは現実的な資金調達手段として多くの日本人投資家に活用されています。
ベトナム不動産事業法の支払い上限規制
2023年に施行されたベトナム不動産事業法(Law on Real Estate Business 2023)では、プレビルド物件の支払いスケジュールに明確な上限規制が設けられています。ベトナム不動産事業法の支払い上限規制は、デベロッパーの資金繰り悪化による工事中断リスクから購入者を保護する目的で導入されました。
ベトナム不動産事業法で定められた支払い上限規制の内容は以下の通りです。
| 支払いタイミング | 上限額 |
|---|---|
| デポジット(予約金) | 物件価格の5%まで |
| 売買契約締結時までの支払い | 物件価格の30%まで(デポジット含む) |
| 物件引渡し前までの支払い | 物件価格の70%まで(外国投資企業は50%まで) |
| ピンクブック(所有権証明書)発行前の支払い | 物件価格の95%まで |
| 最終支払い | ピンクブック発行後に残りの5% |
デポジット(予約金)は物件価格の5%までに制限されており、プレビルド投資における初期リスクを抑える仕組みになっています。売買契約締結時までの支払い上限は物件価格の30%までと定められており、購入者は契約時点で全額を支払う必要がありません。物件引渡し前までの支払い上限は物件価格の70%までとなっており、残りの30%は引渡し後の支払いとなります。
特に重要なのは、ピンクブック発行前の支払いが95%までに制限されている点です。ベトナム不動産投資において、ピンクブック(所有権証明書)の発行遅延は大きなリスク要因となっています。ベトナム不動産事業法の規制により、ピンクブックが発行されるまで最後の5%を支払う必要がないため、購入者はデベロッパーに対してピンクブック取得を促す交渉材料を持つことができます。
支払いスケジュールの実例(約2年で分割)
実際のベトナム不動産プロジェクトでは、購入代金を約2年間で27回程度に分割して支払うスケジュールが一般的です。具体的な支払いスケジュールの例として、ホーチミン市で販売されているプレビルド物件「THE EMERALD GARDEN VIEW」の支払い条件を紹介します。
THE EMERALD GARDEN VIEWの支払いスケジュール例(物件価格を100%とした場合):
| 支払い回 | 時期 | 累計支払い額 |
|---|---|---|
| 第1回 | 予約時 | 15% |
| 第2〜8回 | 売買契約締結まで(毎月支払い) | 30% |
| 第9〜16回 | 上棟時まで(毎月支払い) | 44% |
| 第17〜24回 | 引渡し通知時まで(毎月支払い) | 70% |
| 第25〜27回 | 引渡し時〜ピンクブック発行後 | 100% |
予約時に物件価格の15%を支払い、売買契約締結までに累計30%、上棟時までに累計44%、引渡し通知時までに累計70%、引渡し時に累計95%、ピンクブック発行後に残りの5%を支払う流れとなっています。
このように支払いが約2年間に分散されるため、銀行ローンを利用せずとも計画的に資金を準備することが可能です。たとえば物件価格が20億VND(約1,200万円)の場合、予約時に必要な資金は15%の3億VND(約180万円)となります。その後は毎月の分割払いで資金を準備していけばよいため、一度に大きな資金を用意する必要がありません。
プレビルド物件の分割払いを活用する場合、支払いスケジュールと建設工事の進捗状況が連動しているかどうかを確認することが重要です。支払いが工事進捗と連動していない場合、デベロッパーの資金繰りが悪化して工事が中断するリスクがあります。契約前に支払いスケジュールの詳細を確認し、工事進捗に応じた支払い条件となっているかをチェックしましょう。
ベトナム不動産投資における自己資金の目安
ベトナム不動産投資を始める際に必要な自己資金の目安は、物件価格や支払いスケジュールによって異なります。銀行ローンが利用しにくいベトナム不動産市場では、自己資金で購入することを前提に投資規模を検討する必要があります。
物件価格帯別の必要資金の目安は以下の通りです(1VND=約0.006円で概算)。
| 物件価格(総額) | 初年度必要資金(約30%) |
|---|---|
| 10億VND(約600万円) | 約3億VND(約180万円) |
| 20億VND(約1,200万円) | 約6億VND(約360万円) |
| 30億VND(約1,800万円) | 約9億VND(約540万円) |
ベトナム不動産投資の初年度に必要な自己資金は、物件価格の30%程度を目安に考えておくとよいでしょう。プレビルド物件の場合、売買契約締結時までの支払い上限が30%と定められているため、初年度に物件価格の30%を準備できれば購入手続きを進めることができます。残りの70%は建設工事の進捗に応じて2年目以降に分割で支払うことになります。
銀行ローンが使えないベトナム不動産投資では、複数物件への分散投資が難しいという現実があります。日本国内の不動産投資であれば銀行融資を活用してレバレッジを効かせ、複数物件に分散投資することが可能です。しかしベトナム不動産投資では自己資金が中心となるため、1〜2物件への集中投資となるケースが多くなります。
無理のないベトナム不動産投資を行うためには、総投資額を金融資産の30%以内に抑えることをお勧めします。海外不動産投資は為替リスクや法制度変更リスクなど、国内投資にはない不確実性を伴います。生活資金や緊急時の予備資金を十分に確保した上で、余裕資金の範囲内でベトナム不動産への投資を検討しましょう。
ご注意(免責)
- 本記事はベトナム不動産に関する一般的な情報提供を目的とするもので、投資助言・税務助言ではなく、投資勧誘でもありません。
- 記載の数値・見通し(想定利回り・価格・市場動向等)は目安であり、将来の収益や資産価値を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
- 海外不動産には、為替変動、現地の法制度・税制の変更、市場・流動性、外国人所有の制限等のリスクが伴います。
- 海外に所在する不動産の取引は、日本の宅地建物取引業法の適用対象外です。同法に基づく重要事項説明や、宅地建物取引業保証協会の弁済業務保証金制度による保護は及びません。
- 株式会社DeLTは情報提供を行うもので、不動産取引の当事者・媒介者ではありません。
- 税務・法務・送金等の取扱いは個別事情により異なります。確定申告を含む税務は税理士、法務は弁護士等の専門家にご確認ください。